2016年06月15日 00時00分 公開

第２回　ギルガメとＡＶと僕の少年時代

• 桃色コラム

• アリスJAPAN

芸人きってのＡＶ好きとして知られるニブンノゴ！の宮地謙典が毎回ＡＶについて語る連載がスタート。今回は地上波のテレビにＡＶ女優が登場しはじめた、記念碑的な番組について語り尽くす。

ある日、そんな僕に、ギルガメを見る最大のチャンスが訪れるんです。僕の実家は高知で土産物屋をやっていたんですが、お店の仕入れでたまに隣の愛媛に行くんです。で、ここからが重要なんですが当時、愛媛ではギルガメが放送されていたんですよ。

たまたまギルガメが放送されていた土曜日に、愛媛に仕入れにいく日があって。そりゃ意地でも、ついていかなきゃアカン！　ってなりますよね（笑）。それで、父親に「俺、今度の仕入れ、一緒に仕事手伝うよ」なんて言ったりしてね。親はもう大喜びですよ。「こいつもついに店の２代目として自覚が出てきたな」とか言ったりして。いや、ホントの目的はギルガメだったんですけれども。

とにかくこれで、まんまと土曜日に愛媛へ行くことに成功したんです。でも、まだそう簡単にはいかないんです。なぜなら、お土産の仕入れはそんなに時間がかからないわけで。夕方には終わってしまうんですよ。そこで僕がとった作戦は――。

「イタタタタタ。俺、すげぇ腹痛い。あかん。もう動けへん。ちょっと今日はここで泊まりたいわ……」

――そうです。仮病を使って強引に泊まろうとしたんです。

突然の僕の病気に親はオロオロしつつも「せっかく仕事をヤル気になってるんだから」とホテルをとってくれました。あ、でも、ついでに僕はうめき声をあげながら「イテテテ。テレビのある部屋が……でも、１００円入れるヤツじゃなくて。あとは部屋が２部屋あるところがいい…」なんて言ってたりしたんで、途中で「ン？　こりゃなんかあるぞ」って不審な顔をしてましたけれども（笑）。

ま、でも、なんとか愛媛に泊まることができた僕は、親が寝静まった深夜、ついに憧れのギルガメを見ることができたわけです！

そりゃあもう感動しましたよ。夢にまで見たギルガメとついに対面できたんですから。でもね、その時の番組の特集がね、ぶら下がり健康器に女の子が下がってワキを鑑賞するってヤツだったんです！　僕は「オッパイは？　オッパイはどこ!?」ってな感じで（笑）。いま考えると、ワキ特集はエッジの効いたレベルの高い企画だと思いますよ。むしろそんなフェチっぽいのをテレビで放送しようとしたスタッフの勇気に拍手ですよ。

でもね、中学生の僕にはそんなモン分かりゃしません。ギルガメを観られたうれしさと、なんか「思ってたんと違う…」ってモヤモヤした気分を抱えて高知に帰ったわけです。

結局、僕はその後、番組が終わりに近づいた９７年に上京するまでギルガメを見ることはありませんでした。だから、あの１回が僕にとってのギルガメで、そして永遠に忘れられない最高の回なんです。

これを読んでいる皆さんも、それぞれあの番組には、きっと思い出があるはず。ぜひハガキでそれを聞かせてくれたらうれしいです。面白い話があったら、ぜひここで紹介させてください！　
そんなわけでそれではまた来月!!

宮地謙典（みやじけんすけ）
１９７６年５月１３日生まれ、高知県出身。お笑いトリオ「ニブンノゴ！」のリーダーでツッコミ担当。