2013年08月14日 10時00分 公開

新婚の若妻を脅してカネを巻き上げた無職男

• 桃色コラム

• 出会い

〈久しぶり。元気か〉 　佐藤由梨絵さん（26）の携帯電話にそんなメールが届いたのは、結婚してからわずか３カ月後のことだった。 　差出人は、武田浩正（37）。３年ほど前、由梨絵さんが出会い系サイトで知り合い、何度か一緒にホテルに行った男だ。月に２度くらい、５カ月ほど続いたが、その後何となく会いたくなくなり、自然消滅したはずだった。

被害者：佐藤由梨絵（26）主婦
犯行手口：出会い系サイトで知り合った女性に対して、その女性が結婚した後に連絡して現金を脅し取っていた。
犯人：武田浩正（37）無職

〈久しぶり。元気か〉
　佐藤由梨絵さん（26）の携帯電話にそんなメールが届いたのは、結婚してからわずか３カ月後のことだった。
　差出人は、武田浩正（37）。３年ほど前、由梨絵さんが出会い系サイトで知り合い、何度か一緒にホテルに行った男だ。月に２度くらい、５カ月ほど続いたが、その後何となく会いたくなくなり、自然消滅したはずだった。由梨絵さんもすぐには思い出せないほど、武田のことなどすっかり忘れていた。
〈何だろう。今頃になって〉
　すでに武田には何の興味もなく、まして会う気などまったく無かった由梨絵さんは、返信もせず放置した。すると武田から、〈最近どうしている〉〈また会わないか〉というメールが続けて届いた。わずらわしく思った由梨絵さんは、〈結婚したから、もう会わない〉と返信した。ところが、これがまずかった。
〈ダンナに俺とのことをばらすぞ〉
　そして、ありがちな現金の要求である。〈50万円出せ〉。
　由梨絵さんは最初こそ驚いたが、別に不倫しているわけではない。もし夫の耳に入ったとしても、証拠がなければ「知らない」と言えば済むこと。それに、すぐに50万円という大金は用意できない。由梨絵さんは放置した。
　すると、すぐに次の脅迫メールがきた。
〈新居に俺と一緒に撮った裸の写真や動画を送りつけてやるぞ〉
〈新婚生活をメチャクチャにしてやろうか〉
　これにも彼女は、そう驚かなかった。「合成写真だ」とでも言えばいい。それに、だいたい武田は新居の住所を知っているのかどうかもわからなかった。これもまた、無視して放置。
　その次からのメールでは、やや雰囲気が変わってきた。〈本当に送るぞ〉〈脅しじゃない。俺はやるときにはやる〉などと前置きしてから、〈30万円にしてやる〉。要求金額の値下げである。
　その後も、〈25万だ〉〈20万円で許してやる〉〈10万円。厳しいなら分割でも〉などと、ダンピングの連続だった。そしてついにある日のメール。
〈３万円で手を打つ〉
　いい加減にうんざりしていた由梨絵さんは、指定された銀行口座に３万円を振り込むと、すぐに警察に出向くと、武田からのメールを添えて被害届を出した。それから約１カ月後、武田は脅迫容疑で逮捕された。
　逮捕時、武田は住所不定、無職だった。警察の取り調べに、武田は「生活に困ってやった」と供述した。

　出会い系サイトでの交際をネタに、肉体関係を強要したり、金品を脅し取ったりするケースは後を絶たない。だが、こうした犯行は必ず証拠が残るものであり、発覚すればまず逃げられない。賢い男のするものではなかろう。

※登場人物はすべて仮名です。
※実際の事件をもとに構成しています。