2013年11月20日 10時00分 公開

「大企業の人事部長」と名乗って就活女子大生を食いまくった無職男

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「優秀な人材をさがしています」 　出会い系サイトでこんなメッセージを見たら、ほとんどの者がウソかデタラメ、悪ふざけだと思うだろう。だが、厳しい状況にある就活生たちのなかには、わらをもつかむ思いですがるケースもある。もちろんその場合でも、そんなメッセージを信用しているわけではない。半信半疑、いや、十中八九、疑っている。

被害者：小原亜樹（21）学生ほか多数
犯行手口：有名企業の人事担当者を自称して出会い系サイトで出会った女子大学生などと次々に性的関係を結び、金品などをだまし取っていた。
犯人：福沢文孝（46）無職

「優秀な人材をさがしています」
　出会い系サイトでこんなメッセージを見たら、ほとんどの者がウソかデタラメ、悪ふざけだと思うだろう。だが、厳しい状況にある就活生たちのなかには、わらをもつかむ思いですがるケースもある。もちろんその場合でも、そんなメッセージを信用しているわけではない。半信半疑、いや、十中八九、疑っている。
　ところがこの犯人、福沢文孝（46）はやり方がうまかった。アポをとってやってきた女子大生たちに会う時は、きちんとしたスーツ姿。そして、まず名刺を差し出す。一部上場の有名な大企業の人事部長という肩書きだ。そして、こんなふうに切り出す。
「出会い系サイトで人材募集なんて、おかしいと思うでしょう。でもね、この不況では、ウチのような企業でもなりふり構っていられないんですよ」
　それから福沢は、女子学生をつれて「企業まわり」に出かける。
「実は自社だけじゃなくて、取引先や関係企業からもいい人材がいたら紹介してくれといわれていてね」
　そんなことを言いながら、丸の内や新橋あたりのオフィス街に女性を連れて行くと、適当な企業、なるべく外見の立派なビルに入る。そして、「ちょっと待っていて」と女性をロビーに待たせておいて、受付でなにやら少し話してから、すぐに戻ってきて言う。
「ここの人事担当に紹介しようと思ったんだけれど、外出しているみたいなんだ。すまない」
　そして、同じことを1～2回繰り返せば、世間知らずの女子大生などイチコロである。そのあとは、ホテルに誘って存分に20代のカラダを堪能するというわけである。
　もちろん、すべてデタラメ。この福沢、日払いのアルバイトで生活するほとんど無職も同然の男で、大企業の人事部長などではない。女子大生に渡した名刺は、市販の企業情報書籍から実在のものを抜き出して、勝手に作ったもの。そもそもヤリ逃げが目的なのだから、あとでバレてもかまわない。
　また、「企業まわり」も受付で適当な話をしているだけである。それでも、遠目から見ればわからない。
　そんなふうにして、福沢は手当たり次第に女子大生たちに手をつけていった。
　だが、そんな福沢もつい調子に乗ってしまった。何人かの学生に、人事担当者への紹介料とか紹介書類作成の印紙代などと称して、ひとり当たり1万円から3万円をだまし取ってしまったのだ。これがもとで、福沢は詐欺容疑で逮捕された。

　福沢の手口は、いくらかの社会経験がある者ならだれでも思いついて実行できるものである。学生の弱みにつけこんだ、なんとも卑劣な手口といえよう。この手の男が存在することに、くれぐれも注意しなければならない。

※登場人物はすべて仮名です。
※実際の事件をもとに構成しています。